片 山 知 事 答 弁

              


 安田議員の代表質問にお答えを申し上げます。
 最初に、私の政治姿勢ということで、環日本海交流の取り組みについて、今日までおよそ
12年間経過したわけでありますが、それの総括と今後の展望ということであります。


 私も今、安田議員の御質問を伺いながら、昔のことをしみじみ思い出していたのでありま
すけれども、私はちょうど平成4年の4月に県の総務部長に就任をいたしまして、それはか
つて財政課長をやっておりましたときから10年近く経過をしていたのでありますけれども、
そのときに総務部長になりまして、これからの鳥取県について私なりにいろんなことを考え
ました。その時点で将来をにらんで、その時点では10年先をにらんで、鳥取県の将来の
方向、どういう視点を持つべきだろうかということを考えたわけであります。

 特に先ほど安田議員は後進県、後進性ということを言われましたが、私の場合には違う
表現ですけれども、鳥取県というこの地域が持っているハンディキャップというものを、逆の
メリット、利点に転換できないかということを中心に考えてわけであります。そうしますと、従
来鳥取県とか島根県は裏日本と呼ばれていたわけで、何ゆえに裏日本と呼ばれるかとい
うと、それは太平洋が表で日本海が裏だという、暗黙の了解はしていませんけれども、こう
いう認識があったわけでありまして、それはとりもなおさずやはりハンディキャップであった
わけです。

 この日本海に面しているというハンディキャップを、逆にメリットに生かすにはどうすれば
いいかということを考えますと、それは日本海がにぎやかになればいい、日本海をにぎや
かにすいればいい。そうすれば裏が表になるわけでありまして、これがこれからの鳥取県
の一つの将来の発展方向だろうと認識をしたわけであります。

 折しも、ちょうど1990年代に入りまして、世界の政治構造が随分変わりまして、ベルリン
の壁が崩壊をする。ソビエト連邦が、崩壊と言うと失礼ですけれども、ソ連という形態は終
わって、ロシア、そのほかのさまざまな国に分解をする。また国の体制も従来の社会主義
から大きく変わる。そうしますと、東西冷戦構造というのはおのずから解消の方向に向かう
わけでありまして、それならば、東西冷戦の一番の最前線であった日本海、けんのんな海
であった日本海のありようも変わってくるだろうというようなことで、一つの政策を掲げたわ
けであります。

 その際に、「東の新潟県、西の鳥取県」という標語を掲げたのでありますが、。正直言い
まして、その当時に環日本海時代の拠点づくりといいましても、新潟県は本当に先行して
おりまして、いろんな機能が集積しておりましたけれども、鳥取県ではほとんどゼロに近い
状態で、ゼロからの出発でありますから、言っている当人も「東の新潟県、西の鳥取県」と
いってもいささか面映ゆい感じがしておりましたが、案の定、多くの皆さんから、嘲笑とは言
いませんけれども、やゆの対象になりまして、何が西の鳥取県ですかという話になったこと
を今でもよく覚えております。したがって、「東の新潟県、西の鳥取県と言われるほどの気
概を持って頑張ろう」というふうに言い方を少し変えたのでありますけれども、以来10数年
たちまして、今日の変貌の大きさに私自身も驚いております。

 いろんなことがありまして、鳥取県も環日本海交流には随分力を入れてまいりましたけれ
ども、それ以上に広がりが出て、県以外に市町村でありますとか、文化団体でありますとか
経済界でありますとか、子供たちでありますとか教員でありますとか、社会福祉の関係の
皆さんでありますとか議員の皆さんとか、いろんなところで韓国を中心にした地域間の交流
が広がったということは特筆に値することでありますし、この間、これらの活動に協力をして
いただいた方、実践された方には敬意を表したいと思っております。

 私が感謝しておりますのは、平成4年に環日本海交流を進め、環日本海時代の拠点づく
りを唱えたのですけれども、早速平成7年には、韓国の海運会社高麗海運が、境港と釜山
との間の定期航路を開設をしていただいた。これはかなり勇気が必要だったと私は思うの
です。私はそのときに非常に進士の気性に富んだ会社だと、これも敬意を表した次第であ
ります。最初は積荷もゼロ。まさにゼロからの出発でありまして、お願いをして航路を開設
していただいた者としては、積荷ゼロの状態がずっと続くということは本当に心苦しいことで
ありましたけれども、それもしかし、今では積荷も充実をし、航路といいますか便数も増える
ということになったことで、大変喜んでおります。

 さらには、拠点として非常に重要な航空路線も、アシアナ航空の努力によりまして、3年
前に開設をされ、一時いろいろSARSとか国際テロとかで乗客数も低迷したことがありまし
たけれども、今ひょんなことで日本から韓国に行かれる方が増えておりまして、また、その
行き先が鳥取県が交流をしている江原道ということで、私も大変喜んでおります。

 いずれにしましても当時ゼロからの出発をした環日本海時代の拠点づくりも、今や名実
ともに拠点づくりが着々と進行しているということで、振り返って、最初から手がけた者とし
ては大変感慨深いものを覚えているところであります。

 今後は、これまでの取り組みの上に立ちまして、さらに交流の量もさることながら、質を高
めるということを通じまして、東アジアの近隣諸国、諸地域との間の相互理解と相互信頼を
深める、そういう努力を地域から進めていきたいと思います。

 もう1つ、これは民間の皆さんへのお願いでありますけれども、こういう交流の基盤を活
用して、そこからぜひビジネスチャンスを見つけていただきたい。そして、経済交流に発展
をさせていただいて、それが当該企業の発展や、さらには当該企業が本拠地を置いており
ます鳥取県とか対外諸国の地域の経済的な発展につながるように、そうなっていただきた
いと思うのであります。これから1つのポイントはそこだろうと思います。

 もう1つ忘れてならないのは北朝鮮でありまして、東西冷戦は終わったものの、北朝鮮と
いう少し(大分と言っていいかもしれませんが)我々の自由主義、民主主義の国とは少し形
態の違った国がぽつんとありまして、この国がやはり透明で、そして我々と相互理解、相互
信頼関係を結びやすい国になっていただく必要があるだろうと思います。それはもとより外
交の仕事でありますけれども、我々も地域において、特に本県は北朝鮮と深いつながりの
ある境港を擁しておりますのだ、北朝鮮の変化を促すということも一つの視点ではないかと
思っております。


 全国知事会についてのお尋ねがありまして、その中で私がどういう役回りをするのかとい
うことでありますが、まず全国知事会でありますが、全国知事会も随分変わりました。これ
も私も、この5年ほどの間の変貌ぶりには大変感慨深いものがあります。私が知事に就任
したのが1999年4月でありまして、その年の7月に実は米子で全国知事会が開かれたの
であります。そのときに開催地の知事でもありますし、張り切って知事会で発言をしたので
ありますけれども、後で先輩知事にたしなめられまして、特に私がもといた役所の先輩で
知事になっている方から、ああいう場では発言はしないものですよといってたしなめられた
ことを今でもよく覚えております。

 会議なのになぜ発言してはいけないのかと、そのときに本当に純粋に疑問を感じました。
しかし、実はそれまでは現実はそういうものだったのです。会議は集まって手続をしゃんしゃ
んとこなす。そのときに異論とかそういうものは差し挟まない。それは会議を妨害すること
になる。こういう雰囲気があったわけでありまして、会長さんが議長を務められましたけれ
ども、議長はひたすらシナリオを読んで、短時間で終わるということだったのであります。

 私は、これは意味がないと思ったものですから、しばらく知事会に出席することをやめた
こともあります。時間の無駄と言ったら皆さんから随分お叱りを受けましたけれども。しかし、
その後随分変わりました。私のようにやはり発言をすべきだと思っていた人が何人かおら
れたわけで、そのあたりから堰を切ったように知事会で議論が出るようになりました。異論
反論が出るようになりまして、とてもシナリオ通りには物事が進まないようになりました。私
は大変いいことだと思っております。

 そういう知事会自体の議論の積み重ねがあったればこそ、最近の闘う知事会と言ってい
ますけれども、闘う知事会といっても、本当はよく議論をして、政府に言うべきことはきちっ
と言うとそういう姿勢を持った知事会になったのっだと思います。従来は何も議論しません
から、言葉は悪いですけれども、いわば総務省の下請機関みたいなところがやっぱりあっ
たのであります。今はもうぜんぜん違ってまいりました。したがって、これからも知事会が、
本当に47の都道府県、もちろんその中には市町村も入りますから、市町村の事情なども
踏まえて、国に対して知事会としてきちっと物を言っていくというそういう知事会である、あり
続けなければいけないと思っております。

 今後の知事会の課題で、私はこれはよく皆さんに申し上げるのですけれども、闘う知事
会とか物を言う知事会とは言っていますけれども、しかし、よくよく考えてみれば、政府から
いろんなことを投げかけられたことに対して、反発をしたり、反論したり、意見を言っていくと
いうそういう受け身の姿勢がやっぱりあるのであります。次のステップは、そういう政府から
のボールの投げかけに対してこたえるということももちろんやりますけれども、知事会自体
がイニシアチブをとって、地方からの今後の分権社会のあり方などについても国に提言を
する、国を揺さぶっていくというこういう姿勢が必要だろうと思っております。

 特に私は今回思いましたのは、税についてほとんど知事会とか市長会で議論していない。
分権時代の財政の主役は本当は地方税でありますけれども、これも全部国にお任せになっ
ているわけでありまして、こういうものにも知事会として自ら取り組んでいくということをした
いと思って、知事会の内部で提言を今部分的に始めているところであります。

 その知事会の中で片山知事はどういう役割りを果たすのかということでありますが、それ
は私だけではなくて47人おられますので、それぞれ分担をしながら連携をとっていくという
ことを今やっております。従来は議論しない知事会でありましたから、我々というか私など
は外で活動していたのです。何人かの知事で集まって、高速道路を考える地方委員会とい
うものを結成して独自行動をとっていたりしました。しかし、今は新しい梶原会長のもとで、
知事会の中でいろんな活発な議論をし、行動をするということが可能になりましたので、知
事会の内部でそれぞれ研究会をつくったりしながら、それぞれの人が責任を分担して今やっ
ているということであります。

 そこで、私の場合は、先ほど安田議員がお触れになったように、財源調整問題研究会と
いうものを任されておりまして、その中で交付税問題でありますとか地方財政計画の問題
でありますとか、さらには先ほど言いました地方税の問題などをそこで取り上げて、課題を
提示し、国に対して物を言っているということであります。こういう活動は、これからも続け
ていきたいと思います。


 三位一体改革が、あらましが出たけれども、本県の財政運営に対してどういう影響を与
えるのかということであります。

 その前に、「理想からほど遠い」という表現を安田議員がされて、一部議員席からやじが
飛んだようでありますが、理想からほど遠いというのは、それはそうだと思います。ただ、
三位一体改革というのは、それぞれの立場によって理想が違うのです。私たちは、三位一
体改革というのは、今までの補助金に左右される財政から、自主財源による財政へ転換を
しよう。その方が無駄とかムラとかそういうものがなくなって、より効果的でずれのない財政
運営ができるという、こういう考え方のもとです。したがって、恣意性のある政府に裁量の
余地の大きい補助金をできるだけ削って、それを地方税とか地方交付税という一般財源に
かえる、これが一つの理想形であります。

 交付税につつきましては、私がかねて主張しておりますけれども、かつて交付税というも
のと地方債を組み合わせて、いわば先食いをやったわけです。起債を発行して、それを後
で交付税で面倒をみるということで。これが歳出の膨張につながって、今地方財政は困窮
に陥っている。こういうことをやめなければいけないということが一つの理想であります。た
だ、これは地方団体の中でも若干私の考え方に異論ある方もおられますので、必ずしも統
一された見解ではありませんけれども、私なりの理想であります。

 税については、今のような非常に硬直的な地方税の体系ではなくて、もっと柔軟で自主的
な運営のできる地方税体系にしなければいけないとか、いろいろ理想があるわけです。

 ところが、例えば政府の中の財務省の皆さんは、三位一体改革というのは、国から地方
に交付する補助金や負担金を削る。税源移譲はしたくない。交付税は大幅に削減する。こ
れが理想なのであります。だから、その人たちから言うと、その人たちにとっても理想から
ほど遠いわけです。私たちにとっても理想からほど遠いわけです。だから、違った理想を
持った人同士のせめぎ合いだったわけです。それが三位一体改革ということでありまして、
言葉については皆いいと言うのですけれども、中身はまるっきり違ったことを考えている。
こういうのが同床異夢と言うのだろうと思います。

 理想どおりでないからだめかとマスコミの方もよく聞かれるのですが、私はそうではありま
せん。やはり理想と現実は違います。世の中は必ずしも理想どおりにいかない。何ごともそ
うであります。三位一体改革だけがりそうどおりにいくというわけではありません。ただ、も
うちょっと理想に近ければいいなという希望はありますけれども。

 ただ私は、よくできたなという印象もあるのです。といいますのは、数年前だったら、税源
移譲といったものは毎年言っていたのですけれども、できていなかったのです。ですけれど
も、今回ネットでいいますと1兆8,000億円ぐらいの税源移譲のめどが立ったわけです。
ですから、3兆円に比べたら相当少ない、理想からほど遠いということになるのですが、1
兆8,000億円ほどの税源移譲が行われるというのは、昔から比べたら大変な変革なの
です。やっぱりそれは、地方分権を進めることがくににとっていいことだという大方の了解
が広がったということもありますし、それを踏まえて小泉総理が3兆円という目標を掲げた
ことに始まるわけで、総理が掲げなければ今回のははかったわけであります。

 だったら総理が最後まで3兆円と言われれば良かったじゃないかというのもあるのですけ
れども、そこは現実と理想との違いということで、ただ私は、最後まで総理が地方の意見を
尊重しなさいというのを言い続けられた、これが大きなてこになっただろうと思います。あれ
を、適当にやってください、地方は意見を出したけれども適当にやってくださいと言ったら、
多分早い段階でついえていたのではないか。最後の最後まで地方の意見を地方の意見を
と言われていたことが、曲がりなりにも1兆8,000億円の税源移譲につながったというこ
とになっているのではないかということで、先ほど自民党に対して非常に厳しいやじが飛び
ましたけれども、小泉総理に対して私は一定の評価をしているわけであります。

 内容はまだ不明であります。したがって、安田議員がご心配の本県財政にどういう影響
があるのかというのは、正直私もわからないのであります。と言いますのは、あれでわかれ
という方が無理なのです。検討項目ばかり並んでいて、税源移譲の額のおおむねを占め
るのは義務教育費国庫負担金と国民健康保険に関する国庫支出金でありますけれども、
これらが一体どうなるのかということもまだわかっていないのです。義務教育も額だけが明
示されていますけれども、どういうやり方をするのかというのは何も決まっていません。国
民健康保険に至っては、いまだに厚生労働省の案と総務省の案とが議論されているとい
うような段階であります。ですから、そういういいかげんといいますか、決まったといっても
途中段階みたいなもので、我々のところに取り込んで全貌を明らかにせよといっても、それ
は木に緑って魚を求るがごとしだと私は思います。

 今後のポイントは交付税であります。交付税も年末にかけて総務省と財務省との間で協
議をして決めるということになっておりますが、全く決まっていないわけです。だから、これ
に向けて、両省の協議に向けて我々がきちっと物を言っていく。去年のように、結果の報告
を受けて、だまされたというようなことのないようにしなければいけないというのが、今の我々
の一番気をつけなければいけない点であります。

 幸い、今年からは政府と地方側との間に協議の場が設けられることになりました。これは
大きな成果だと私は思います。一方的に決められるのではなくて、途中段階できちっと物が
言える。もちろん我々の意見が全部通るということではありませんけれども、しかし、少なく
とも闇討ちとかそういうことにはならない足がかりがだきたと思っております。これは地方6
団体の会長が出られますから、私などは出ないのでありますけれども、しかし、会長をきちっ
と支えるという体制を今つくっておりまして、その役もやっておりますので、そういうことを私
もしっかりやっていきたいと思っております。


 現場主義とお役所主義といいますか縦割り主義との矛盾をどう解決するのかということで
ありますが、ここは本当に行政改革の一番難しいポイントなのです。それを安田議員が少
し違った観点で、別の表現で言われたのです。私にとっても、官僚主義と現場主義というも
のをどういうふうにないまぜるかということが非常に難しいのです。

 といいますのは、役所というのはやっぱりそれぞれの職員に、あなたの仕事はこれです
よ、あなたの上司はこの人ですよ、この人の言うことを聞きなさいよということを明示してあ
げないと、なかなか仕事ができないのです。何でもいいからやりなさいということになって、
皆がそれぞれ理想的な動きができるのであれば、それがいいのですけれども、経験上そ
れはなかなか難しい。やっぱり組織をつくって、権限を決めて、責任を明確にする。上下関
係を明らかにする。これが経緯上、仕事が相対的にできやすい環境だということで、役所
の組織ができるわけです。これを官僚制と言うわけです。

 ですから、官僚制というのは本来仕事を効率的にするための仕組みであり、表現なので
すけれども、その官僚制が今度は弊害が出てまいりまして、自分のことしかしない。相手の
ことは知らない。全体のことを考えない。我さえよければいい。こういうふうになってしまって、
官僚制というのは結果的には今は非常に悪い表現になっております。私などにとりまして
は、法学上は実は官僚制というのは非常にいい言葉なのですけれども、現実は悪い印象
を与えている。

 その官僚制の悪い弊害をどうやって是正するか。これについてはいろんなやり方があり
まして、その1つが現場主義ということであります。官僚制というのは、どうしても上を見る
仕組みになります。ですから、視点を逆にして、現場を皆が見ましょうということ。これが官
僚制の悪いところを是正するやり方で、つとに私が職員にも話をしているところであります。

 現場を皆見ようといったときに、それでもなかなか見ない。したがって、トップも足しげく現
場に行く。そうすると部下職員の人も現場に関心を持ってもらう。これも1つのやり方であり
まして、知事や副知事が行かれればいいでしょうとさっき安田議員が言われたのは、そう
いうことなのであります。ただ、なかなか、毎日毎日現場に行くというわけにもいきませんの
で、それも限界があります。

 あとは、例えば私は特に幹部職員に言っているのですけれども、一人一人が2段階上の
視点で仕事をしましょうということを言っています。役所というのは、ともすれば通常は1段
階、2段階下のレベルで仕事をする人が多いのです。自分の権限をもっともっと狭めて、後
のことは知らないというふうになるのですけれども、逆に自分の権限よりも2段階上の視点
で情報をキャッチし、そして県政に反映させる努力をしましょうということ、こういうことも一つ
の官僚制の改善になるのではないかと思っております。

 あとは、例えば県民室をつくるとか、総合事務所をつくるとか、総合事務所の汝かに県民
局を置くとかこういうことで、いわゆるワンストップの部署を設けて、そこに縦割りでない情
報が入ってきやすいようにするということ、こんなことも今努力をしていうrところであります。

 あとは、実は議員の皆さんも、官僚制の弊害を補完するといいますか打破するといいま
すか、そういう役割りを持っておられるわけでありまして、トータルな存在としての住民の皆
さんを、トータルに受けとめていただいて、その中から役所の弊害とか縦割りの弊害などを
議員活動の一環として貫いていく。行政改革を進めるという、口幅ったいようでありますが
これは大きな役目だと申し上げておきます。

 安田議員は一般論でおっしゃられたのですが、恐らく私が推測しますに、何がしかの個
別の事案があるのではないかと思うのです。その個別の事案をぜひおっしゃっていただき
たいと思うのです。その個別の事案を、実は個別に解決するということももちろんあります
けれども、私はぜひ、そういう個別の事案を通じて、その背後にあるシステムを改革してい
くという、これが非常に重要だと思っているのであります。何ゆえにそういう事案が生じたか、
不具合が生じたか。それはやっぱり役所の縦割りの弊害が余りにも強過ぎた。では、そこ
を直していきましょう、組織改革に結びつけていきましょうというこういうことが私にとっては
大変ありがたいのだりまして、したがって、個別の不具合を遠慮なくおっしゃっていただきた
いと思います。議場でおっしゃっていただくのが一番結構でありますけれども、プライバシー
の問題やら何やらあれば、それは別途でも構いませんけれども、おっしゃっていただけれ
ばと思います。

 私は、三菱自動車の今回の一連の不祥事を見ていまして、最初は個別の不具合から起
こっているわけです。不具合ないし事故からおこっているわけです。そのときに、なぜこの
事故が起こったか、不具合が起こったかということを点検をして、それは設計にミスがあっ
たという、これがまさにシステムの問題でありまして、その時点で早く設計を変えていれば、
あんなにぶざまなことにはならなかったわけでありまして、行政も同じだと思います。システ
ムの欠陥は個別の不具合から出てくる。その個別の不具合を早くキャッチしてシステムを
改革すれば、他の同種の不具合は起こらないということでありまして、ぜひ個別の事例を
お願い申し上げたいと思います。


 県は頑張る市町村を応援するというが、頑張らない市町村があるのかということでありま
すが、これはちょっと言葉じりを捉えられたのではないかと思うのですが。といいますのは、
9月議会で私が答弁したときに、合併をする市町村と自立をする市町村があるけれども、
それぞれをどういうふうに扱うのかというご質問をどなたかされたのです。国の方は今、合
併するところはかわいいからどんどん優遇するけれども、そうでないところは日干しにして
やろうというようなところがやっぱりあるわけでありまして、極端に言うと、そういう気持ちが
総務省の人などにはあるのです。それはいけませんということを私は常々申し上げており
まして、単独で自立してでも頑張る市町村は、それはそれでちゃんと評価をして、支援をし
てあげなければいけませんということを申し上げたのです。ですから、単独で自立してでも
頑張る市町村の存在というものに、もう少し皆目配りをしなければいけませんよと言ったわ
けでありまして、あえて頑張らない市町村と頑張る市町村を区別したというそういう文脈で
言ったわけではないのです。それは誤解のないようにしていただきたいと思います。

 ただ、皆が皆頑張っているかというと、必ずしもそうでもないのではないかという反論は皆
さんの中にもあると思います。自治の実践の現場での積極性とかそういうものの濃淡の差
は、やっぱりあるのだろうと私は思います。例えば国や県からの指示がなければ動かない
というところは現にあります。地元の市町村内に課題があって、当然取り上げていいという
問題でも、県から指示がないから動かないというところはやぱりあるのです。逆に、県から
何も言われなくても、さっさと動かれて解決をするところもあります。これは頑張る、頑張ら
ないという表現がいいかどうかわかりませんけれども、やっぱり何がしかの差は認められ
るのだろうと私は思います。

 財政改革なども、境港市などは自立を決められた段階でかなり大胆な財政改革に乗り出
されておられますけれども、そういう財政構造改革をやられているところと、ほとんど何もや
られていないところもやっぱりあります。これも濃淡の差であります。

 もう1つは、質の問題でありまして、私はよく申し上げますけれども、質の問題で、透明性
とか説明責任とかチェックシステムがちゃんとできているかとか、さっきおっしゃられた現場
主義とか、そういうものが透徹しているかどうか、これは非常に質の違いになってあらわれ
ます。先般、市民オンブズマン鳥取の皆さんが市町村情報公開度ランキングづけされまし
たけれども、あれを見てもかなり差があります。あれ自体も、実は形式的な採点のポイント
が多いのです。例えばコピーをもらうときにお金をいくら取っているとか、そういうのは情報
公開の姿勢とは余り関係なくすぐ変えられるものですから、あれがそのまま情報公開の公
開度をあらわしているかどうか、私はやや疑問なしとしないのですけれども、一つのチェッ
ク項目ではあります。ああいうものを参考にされて、我が町はもっと質を高めようというよう
なそういう素早い動きとか鋭敏さというものがあるかどうかというようなことも、質の差につ
ながってくるのではないかと思っております。ぜひ質を高める改革をしていただきたいと思
います。

 市町村は非常に財政窮乏していて、これをどうするか。県だけが生き残って市町村はば
たばたというので、これで自立と言えるのですかというこの種のご質問だったと思いますが、
市町村の財政は市町村自体が責任を持って運営されるわけでありますけれども、今の国
の地方財政システムの中では、とにかく必要最低限の財政運営ができるようには、地方税
と地方交付税制度のシステムで担保されているはずであります。ただ安田議員がおっしゃっ
たように、そうはいってもやっぱり財政に差がついて、行政サービスの水準に差が出るとい
うことは、ある程度はやむを得ないと思います。

 そこで、それぞれの市町村が将来をにらんで苦吟をされたわけです。うちは合併をしよう
か、それとも単独で自立してでも頑張ろうか、こういうせんたくをそれぞれ自らされたわけで
あります。その選択をされる過程では、財政の将来見通し(これはなかなかわからないの
ですけれども)それをにらみながらやられたわけでありまして、県としてはそれを尊重する。
中には多少自立することがかなり精の要ることだろうなと思うところもありますけれども、そ
れはそれぞれのところで市町村で責任を持って判断されたことでありますから、県としては
それを尊重するしかないと思います。

 もう1つは、財政運営で、規模が大きくなれば財政はよくなりますよというのは政府の方針
ですけれども、したがって、合併しなさいということなのですけれども、私は、規模の問題も
もちろんあるかもしれませんが、質の問題た大きいと思います。不要不急のものを漫然と
やってきた。それはチェックが働かなかったということであります。透明性が少なくて、住民
の皆さんによくわかってもらっていなかったということもあったと思います。したがって、透明
性とかチェックが機能するかどうかというその質の問題も、これからの市町村の財政には
大きな差をもたらすのではないか。ということは、ぜひ質を高めていただきたいということで
あります。

 県だけが生き残って、市町村がばたばたというのでいいのかということですが、何か誤解
があると思います。県はそんなに磐石ではありません。私もひょっとしたら涼しい顔をしてい
るように見えるかもしれませんが、本当は夜も寝られないぐらい、県の財政は大変なので
あります。

 今、県には借金が6,000億円あります。大半は引き継いだものでありますけれども。今
年返すお金が670億円です。税収が500億円に満たないのです。こういう財政運営をして
いるのです。ですから、これだけ考えれば、本当は夜寝られないのです。ですけれども、何
とか歯を食いしばって、しかも議会で決めていただいた基金の取り崩しの額の範囲内で、
何とかかんとかやりくりをしている。実は財政は予算編成、予算の執行を含めて本当に大
変なのです。ただ、こういう時期に私を筆頭に皆が大変だ大変だと言って世の中を暗くする
ようなことは避けたいと思って、あえて涼しい顔をしていますけれども、県も本当に生き残り
をかけて、実はサバイバルゲームをやっているようなものなのであります。県だけが何か
財政は安泰で、市町村は本当に厳しいというようなことは、実体とは違います。むしろ市町
村よりも県の方が厳しいかもしれない。

 わけてもこれから交付税改革とかいろんなことがあって、鳥取県の場合は47都道府県
の中で一番人口の少ない県でありますから、言うなれば県内の市町村の中で一番小さい、
人口の少ない町村のことを思い浮かべていただくと、全国の中での鳥取県の立場というの
がおわかりいただけると思うのですけれども、そういう中で必死に頑張っているということで
あります。

 職員の給与も引続き、また新たな観点で5%カットを継続したいという、これは非常に大
きな異論反論、抵抗もありますけれども、これも財政の実情からするとやむを得ざることだ
と判断してのことであります。そういうことを県はやっているし、やろうとしているのです。市
町村もそれぞれやられていますけれども、県以上にやられているところというのはほとんど
ない。皆無とは言いませんけれども、余りないのではないでしょうか。市町村も、県の努力
を上回るような努力をぜひしていただきたいと思います。


 個人の自立を唱える本県としては、自然をもっと活用するべきではないか、自然との触れ
合いや体験活動を重視すべきではないかということでありますが、おっしゃるとおりで同感
であります。人間は社会的動物と言われていますけれども、もともと自然の中から生まれた
生き物だと思います。したがって、自然の中で生活をするのが本来の姿であって、自然か
ら離れることによっていろんな不調とか不具合とかそういうものが出てくるのだろうと思いま
す。

 不自然なことという表現がありますけれども、まさにそれは言い得て妙だと私は思います。
自然から離れると、やっぱり不自然になる。それは心も体もそうだろうと思います。自然に
触れることを通じて人間性でありますとか、生きていく力とか勇気とか、謙虚さとかそういう
ものをおのずから身につけるのではないかというのは、私も多くの子供を我が家で育てて
おりまして、そう思います。自然に触れさせたときの目の輝きは、テレビを見ているときとか
パソコンゲームをしているときとは全然違います。ぜひこれから、これは鳥取県だけではな
くて我が国全体として、家庭や地域や学校において自然との触れ合い、自然と親しむ機会
というものをこれまで以上にふやす努力をしなければいけない。鳥取県政でもそういう視点
を持って、市町村とも連携しながら取り組んでいきたいと思います。


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